2012年5月30日水曜日

『Mother tree』



雄熊は繁殖行動はすれど、育児には参加しない。
よって、母と仔の結びつきはとても強い。
 どこに行けばどんな食べ物が手に入るのか、
どこが安全な場所なのか、冬眠する時はどうするのかなど、
仔は生きる術を母から学ぶ。

幾多の爪痕がついたこの木を見ると、
ついこんな根拠のない想像をしてしまう。
この爪痕の持ち主たちは、母系の家族ではないのかと。
母から教わったこの木の在り方を自分が母になった時にまた仔に伝える。
そんな事が繰り返されて、この木には無数の爪痕がついた。
この一本の朴の木には、あるクマの一家の歴史が刻まれている。
もしそうなのだとしたら、なんと面白い木なのだろう。

樹皮の模様に見えるが、全てツキノワグマの爪痕


今年もクマは来ていた。






2012年5月28日月曜日

初親仔に憐憫の・・

今日はもう駄目かも・・なんて思いながら林道を走っていると、遥か対面の林内に黒い影を発見。車をとめ、双眼鏡で覗くと黒い影が動いている。クマだ。よく目を凝らすと、大きな影の足元に小さな影を確認しました。仔熊だ・・。慌てて機材を取り出し撮影に取り掛かる。この映像をずっと撮りたかった・・。これが撮りたくて何度もフィールドに足を運んだんだ。撮影開始後、すぐ雷雨に襲われてしまったけど、初めてまともに親仔のクマを撮影できた。

仔熊は、母熊から離れて走り回っていました。急斜面を転げ落ちたり、木に登って枝を噛んだり、やんちゃそのもの。前日まで親仔熊の目撃情報がなかったので、もしかしたら冬眠穴から出たばかりなのかもしれない。仔熊は初めてみる世界に興味津々のようで、とても微笑ましい。しかし、ほんの数十メートル下は断崖絶壁なので、無邪気に走り回る仔熊を見てるこっちはハラハラドキドキです。

日頃クマを見て、彼らの持つ野生の凛々しさに魅力を感じても、かわいいとは思わなんだが、仔熊は別でした。上空に目をやれば、大型のワシが飛び交う。ついつい仔熊の無事を祈ってしまいました。僕は野生の世界に憐憫の情を持ち込むタイプではないですが、今回ばかりは別でした。無事に育ってほしいなぁ。

画像はフルハイビジョン動画からの切り出し。35mm換算1560mmという超望遠。
動画でみると綺麗なんですが、やはり静止画にするとなかなか厳しい画質ですね。




さらにトリミング。月の輪が確認できますが、やはり画質の方は言わずもがな。
何をしているのかというと、若いカラマツの枝を噛んで遊んでいます。






















GH2 G Vario 100-300 EXテレコン動画切り出し。